すっごい今更なんですが
当サイト、青春清酒の10万HITを記念し、また、来訪下さった皆様への感謝をかねて
・・・ええと
とんでもないものを書いて(どちらかというと描いて)しまいました。

メインジャンルであるドラゴンボールネタなので、興味のない方は申し訳御座いませんがスルーな方向で。
ドラゴンボール好きで当サイトを訪れて下さる方も
心臓の弱い、或いはとんでもない改変を嫌う方はこの先ご遠慮下さい
心に深い傷を負っても責任は取れません

ある意味グロ注意
エロくないけど15禁くらいで
そんなん大事な記念ものにするなという突っ込みはもう飽き飽きです

取り敢えず、基本的にはリクエスト下さった黒衣さんとひ弱さん中心に捧げますが(巻き込んだ)
欲しがる奇特な人がいないことを信じて
一応、記念小説と、ここの背景、記念絵、また記念絵前後の微妙な会話は 特に期限なくフリーとさせて頂きます
つまり絵だけでも微妙な会話だけでも自由に持って行きたい放題ですが
自分の良心と十二分に検討してからの方がいいですよ、と思います
小説だけだとわけわかんないことになりますけれども。
あと、絶対いないだろうけど、この注意書き文章も好きなだけ持ってって弄くってやってもいいです

・・・では、黄泉平坂を突き進む準備が完了しましたら
ガーッと下へスクロールして先へお進み下さい

頑張って。


































I feel dizz

〜10万HIT記念〜
*作中時期は考えないで下さい



 柔らかな日差しが頬を撫でる。もう春か。窓際でぼんやりと思いつつ、上手くいかない結び目を三度解いた。
 鏡に映る自分はあまりにも眠そうで、虚像につられて欠伸が漏れた。噛み殺すでもなく大口を開けて酸素を存分に取り込む。眠そうというか、眠い。このまま 意 識が薄れて鏡に突っ込んでもおかしくないくらい眠い。

 「ちゃーん、出来たー?」
 「もうちょっと」
 急かす声に慌てて弛緩した身体に鞭打つ。垂れた厚い布に再度挑みかかる精神はそろそろ限界。慎重に長さをあわせ、布を重ね、折り、布と布の間に軽く尖っ た 先端を差し入れ・・・。
 「ああもう上手く結べない、ブルマさんヘルプ!」
 叫び、どうしても不恰好になるネクタイを癇癪交じりに放り出した。硬い布がとぐろを巻いて絨毯に落ちる。
 「ちゃん、器用だから結べるかと思ってたんだけどね」
 「2、3回しかしたことないのに出来るもんか。・・・つうか何で私、いきなりスーツなんか着せられてるんですか?」
 近くに寄った細い竜胆色の髪を拗ねたように見やり、己の跳ねた黒髪を弄ぶ。これは整えなくてもいいのかな?白い袖が眩しかった。

 「似合ってるじゃない」
 「そうじゃなくて」
 現在纏う新雪のように白い上質のスーツは、今日になってブルマが突然に持ってきたものだった。酷く上機嫌に渡されたそれはの為に作られたかのように ピッタリで───当然サイズをあわせた、世界にひとつだけという歌い文句のオーダーメイド品だろうけど───まあ、それなりに似合わなくもない代物で。
 だからこそ何だか嫌な予感が拭えないんだけれども。

 ふふ、と綺麗に笑うブルマが何だか怖かった。
 「写真撮るのよ。10万HITおめでとう記念」
 「じゅうまんひっと・・・?」
 ぞくりと震う背筋。予感が猛烈に足元から脳天まで駆け上がる。
 きっと気のせいだ違いない気のせいに決まってる。言い聞かせてもう一度鏡に目を向けると、まるで結婚という名の人生の終焉に歩み寄る新郎のような、どう し ようもなく未来に絶望しか感じていない自分がいた。
 「・・・うぁ」

 花の18歳。人生における様々なちょっと危ない物の半数が解禁される自由の年。こんな若さで絶望してはいけないと、固く自分に言い聞かせる。 顔を上げ て顎 を引いてさあ未来に希望を感じろ無理です。空想の中でもあっさりとどん底に陥る自分に涙が出た。







 「ベジータさん、どうよ。じゃーん」
 気を取り直して。
 ブルマに先導されリビングに入ったを迎えたのは、尊大にソファに陣取った王子様だった。浴衣を着てはしゃぐ子供のように両手を広げ、それなりに機嫌 を 上昇させて言う。
 億劫そうに視線を流した王子ことベジータは馬鹿にしきった表情で息を吐いて。
 「・・・似合うと言われたら嬉しいか?」
 「え、いや、ちょっとはきっと嬉し」

 「似合うなー!女なのに違和感全然ねえぞー!」
 「さすがさんですね!男らしくて素敵ですよ!」
 「お姉ちゃん、今日からお兄ちゃんて呼んでもいい・・・?」

 「くないような気がしてきました」
 嬉しいんじゃないかな?という言葉は、どやどやと現れた孫家の男共に覆された。
 キッ、と睨み付けても言うまでもなく効果なし。悟空さん違和感ねえとか言うな。悟飯くん男らしいとか嬉しくねえ。悟天くんモジモジすんなちょっと萌える だ ろうが。突っ込む言葉もぐっと我慢の子。よく考えるとちょっと妥当ではない突っ込みも堪えた気がするが、きっと気のせいだろうと思う。再度沈降した気分に 深く溜息を吐いた。
 胃潰瘍が出来ない辺り、最近とても不思議で仕方がない。

 「あー、・・・」
 「・・・なに。トラくんまで私の胃液を暴走させ・・・」
 ちらりと視線を動かす。いつも間にか所在無さげに脇に立っていたトランクスが、酷く哀れむような顔でに曖昧な笑みを送っていた。その奥深い瞳に、胸 が ざわめいた。
 「な、なに?なんなのなんなのその得体の知れない哀れみは?またなんか嫌なこと企まれてたりとかしたりするの!?」
 顔面から血の気が引いていく。とめどない冷や汗が噴出する。ガタガタと震えだしたの身体は制御を失い、手をついた机から劇的に空のカップを落下させ た。
 オーバーリアクションが更なる哀れみを誘うが事実は無情、あくまでも部外者のトランクスにそれを覆そうと思うまでの義理もなく。
 「・・・・・・ぶっちゃけていうと、うん」
 僅かな沈黙の末、意外にあっさりと頷かれる。
 人生ホニャララ目の絶望にひッ、と呼吸が絶えた。肺が生きることを拒否する。本能に従って瞬時に脳が自らの意思で凍結。目の前が闇に閉ざされて。

 気を失ったらやばい。

 崩れ落ちる寸前、多彩な人生経験から導き出された結論に意識が奇跡的に回復した。
 バランスを崩したを支えるべく伸ばされる、経験上予想するに恐らくは企ての第一人者である悟飯の手。その後ろで額に指を当てて気を集中している、何 か 色々な元凶。ついでにそのまた後ろでは、トランクスと同等に哀れみを映した目つきの悪い王子様が。
 (掴まったら強制連行かな)
 素早く回った脳がアラームを鳴らす。
 素直にその忠告に従うべく、は───窓から身を投げた。







 「逃げたー!」
 「孫くん、行けー!」
 「ホイきた!」
 漢らしくガラスの破片と共に飛び立ったに心底同情した。誰も心配しないのはまあともかくも、瞬間移動までして追うのはどうなんだろう。
 舌なめずりをする悟空が、目の前から掻き消えた。生き生きとする母と親友の兄が怖い。そのまま連行していいからねーと叫ぶ声。まるで死んだ人間を懐かし む ように、思わず空をしんみりと見詰める。、頼むから生きて帰って・・・くるといいな。

 「トランクスくん」
 「・・・んあ?」
 おずおずと服を引っ張る悟天を振り返った。黒い瞳と目が合う。
 (う)
 星を湛えてキラキラ輝いている瞳が眩しい。いや、瞳どころか、雰囲気全体が眩しい。純粋極まりない笑顔に怯み、一歩後退した。足元でパキリと散ったガラ ス が割れる。
 「お姉ちゃん、似合ってたね!」
 「ん、あー、お、おおー」
 両手で固く握り拳を作って主張する悟天に、トランクスは適当に頷くしか出来なかった。
 「あれで、写真撮るんだよな・・・あの人らと・・・」
 「楽しみだね!」
 「あー・・・」
 満面の笑顔で彼方を見遣る親友。同意はしかねた。あまりにもエグ過ぎる。どちらかと言うと凄く見たくない。

 「お姉ちゃんが似合ってたんだから、あっちも似合ってるよね!」
 「いやまてその理屈はおかしい」
 ソファから反射的に身を浮かせた父親発せられた声に深く頷く。よかった父親は普通の感覚で。心からグッジョブ、そう思った。
 麗らかな日差しを散りばめた青い空を仰ぐ。遠い光景を想像し、トランクスは祈る。
 (どうしようもないけど取り敢えずショック死しないよう頑張れ)

 魂からの祈りに応えるよう、けたたましい叫び声が暖かな空気を震わせた。







 「い、いいやああああああああああああああああ!どどどどこへ連れてこうってんですかアンタちょっと待てよ待てっておいふざけんなよ放せコラやめろコラ ど こへ瞬間移動する気だ行くなら誰もいないトコ行ってアンタだけ失せるのを要求するっつうか寧ろ私を置いてテメェだけ行くがよかろうよはなせえええええええ えええええええぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁッ!」

 喉が張り裂けそうなほどに叫んだ。両手でガッチリ抱えられ涙目で暴れるに、しかし能天気の結晶は、またも額に手を当ててヘラヘラと笑うばかり。畜生 そ ういうところも嫌いなんだこの野郎。しね!
 「そんなヒデェことじゃねえって。蹴られたり殴られたり光線出たり血みどろになったり死にかけたり死んだりとか、そういうん今回はねえから、安心しろっ てー」
 「テメェの言うことは嘘ついてないはずなのに一々信用できんのだ!しかも今回て・・・」

 呼吸の合間に一瞬の眩暈を感じた。揺れた視界に目を閉じる。気持ち悪ささえ覚える一瞬をどうにかやり過ごし、大きく息を吐く。と。
 「、見ろ、ちょっとおもしれえぞアレ」
 頭上ではしゃぐ声と共に、促すように背中を数度軽く叩かれた。ということはもう、自分は自由な身のわけで。思いつつも一応大人しく目を開ける。
 空も地面も真っ白け。どこへ連れて来られたかと思ったら、よりにもよって精神と時の部屋かとうんざりする。修行だろうか。ならば悟空の言葉はまるきり嘘 だ ということになるけれど。
 ところで、数十メートルに渡って敷き詰められた市松模様の床タイルは、もしかしてわざわざ敷き詰めたの?

 「ほらアレ!見ろアレ!」
 「・・・何ですか子供みたいに・・・」
 言われるままに億劫に視線を上げ。
 今世紀最大の絶望を感じた。







 限界まで目を見開いて、すぐさま身を翻した。あれは見てはいけないものだ。視細胞が脳細胞が全て全て全ての細胞が、映したひとつの影を否定しようとざわ め いていた。忘れろ。いいから忘れろ。世界が信じられなくなるから。震えにガチガチと歯を鳴らしながら、全力で出口へとひた走る。

 絶望?否。個人の絶望などひたすら温い。アレはリーサルウェポンだ。存在だけで地球どころか銀河すら滅ぼす最終兵器に違いない!
 少なくとも自分の知ってる人物とかじゃ絶対ない。
 「お」
 「いやああああああああああああああああああああああああ!?」
 ピじゃなかったリーサルウェポンが何か言ったようだった。きっと声だけでも死ねる。直感はしたが、速度が落ちるので両手で耳を塞ぐわけにはいかない。計 算 1%本能99%の割合で、悲鳴は自然と喉から漏れた。
 「なあ―、何で逃げんだー?」
 「逃げるわー!!」

 追ってきたのは悟空だけだった。正確にはピッコじゃなくてリーサルウェポンも追ってこようとはしていたようだったが、その装備の機動性故に余裕で逃げ切 れ る速度でしか追えない。
 「おもしれえと思うんだけどなー」
 出口まで、残り数メートル。後ろを振り向かなければ良い、という好条件を手に入れたは、その音声を耳に入れないように更に呟きながら、走る。
 「馬鹿かアンタ!重度のグロ注意・・・!鋼鉄の心臓を持つ者以外閲覧禁止・・・!寧ろ生物は見ちゃいけません・・・ッ!これが逃げずにいられるかっつ う」

 言葉を切って、扉に体当たりする勢いで手をかけた。この空間から出られる。なんて素晴らしいことだろう。あの最終兵器と空気を共にしなくてすむ瞬間が、 さ あ、いざ我が手に!
 踊る心に任せるまま、ノブを回す。負荷は特にかからなかった。まるで向こう側から誰かがグッドタイミングで戸を開いたみたいに。

 ガチャリ。

 あれーおかしい。絶望って考えてみれば、一回しか感じないべきものだよね。望みが絶たれてるんだもん。ならきっとこれが真の絶望で、今までのはその序章 だったんだ。そうに違いない。でもそんなずんどこ人生、私の生きてる意味って一体なに?

 「あ、さん、早かったんですね」
 「ほほう、似合うではないか」
 無難な言葉はもういらない。ノブを握っていた手から、急速に力が失われる。希望に笑う口元が、失ったものの重さにそのまま硬直した。
 「はは!二人ともおっもしれえぞーその格好!」
 「お、面白いとか言わないで下さいよ。でも、結構似合ってませんか、僕。えへへー」
 この微笑ましい小さな存在だけなら笑って見逃せたんだけどな。
 「うむ、似合っておるぞ、デンデ。しかしこのわたしも中々に・・・」
 何でこっちのミイラはいるのかな。
 一見朗らかな会話を聞きながら、遠い意識の中では頬を伝う涙を感じた。

 緑色。目に優しい色。そんなん絶対嘘だ。
 力の抜けた膝が折れる。真っ白に燃え尽きた自我が、その寸前に思ったのはただ一つだった。


 そういえば写真撮るとか言ってたかもね。


 自分にまで突き落とされて、もうどうしようもなくなって。


 うっかり記憶をなくすことにした。
 (↑クリックで絵に進む。ショック死注意。ちょっと重いです)




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