dizzy番外編
仲良き事は美しき事かな?







 サイヤ人って恐ろしい。







:悲憤慷慨







  岩壁に埋まってピクリとも動かなくなったピッコロを、自業自得、殺人未遂による恨み、その他諸々の事情によりシカトすることにした。 放って悟飯を追 うことにした選択を魂から後悔したのは、「おじゃまします」の素朴な一言を発したその瞬間だった。

  パラパラと。
  頭の直ぐ脇で落ちるティーカップの欠片に南無阿弥陀仏を唱えながら、自分の生命を司る蝋燭は風に煽られっ放しなのだと確かに感じる。
  来たばっかりでなんだけど、一刻も早く帰りたい。
  頬をつたう涙が胸に痛かった。








 孫家。

  ちょっとした広さの家の中に佇む生命体は、もはやの 他には悟飯しかいない。訳もわからない内に、大変理不尽な力で御逝去なさった二匹の出目金様、三匹 のカブト虫様、五匹のサワガニ様。計十個の哀れな魂は、今頃閻魔大王と面会を果たしていらっしゃることだろう。
  後で瓦礫の中から発掘してあげよう。ひっそりと決意して、は 悟飯の周囲───延いては自分の周囲を見回した。

 チチが見たら卒倒するだろうか。
  窓は割れ、タンスは倒れ、電灯は見るも無残。小物に至っては跡形すらない。壁にはヒビが余すところなく所々コンクリートがガラ落ちしている、この惨状の 元・生活用品に対し、瓦礫、という以外の相応しい言葉があろうか。否、ない。これこそ瓦礫、価値のないものと言うに相応しい!

 「ぅおっと」
 ヒュンッ。
 一振りの包丁が、悟飯の気に煽られて飛来する。首を傾げてそれを避けると、鋭い音を立てて壁に突き刺さり・・・又しても壁がガラガラと崩れ落ちた。外の 風 が気持ちいい。
 (・・・あ〜あ・・・)
 「悟飯く〜ん・・・」
  更にぶっ飛んできた中華鍋が襲い掛かる。今度は避けきれずに、額に小気味良い音で多段コンボを食らわされた。鉄製の重い鍋。当たって一番辛いのは、額にべ たりとついた油を思うことである。

 「・・・いい加減落ち着こ?」
 痛む額を押さえると、僅かに熱を持っていた(ついでにぬめっている)。後から腫れてくるかもしれない(どこら辺までテカってるんだろう・・・)。
 超化した悟飯の黄金の気のせいで、家は着々と崩壊の時間を引き寄せている。揺れる地面が力の恐ろしさを暗に語り、広がる壁の穴が破壊力を身をもって表現 す る。

 今壊れたら、被害を食うのは自分だ。苦い思いを飲み込んで、再び口を開いた。
 「ゴハ」
 「なんですか?」
  声を遮る、左大胸筋にナイフを這わされるような冷たい声。思わずヒッと息を呑み、これ以上は無理だというくらい顔面を引き攣らせた。ゆうらりと合わされる 瞳が金色のオーラと相俟って、恐怖を倍増させる。

 「───何ですか?」
  ニッコリと笑って───目が殺気だらけだったけど───言う彼に、震えない言葉を返す程の根性はない。引き攣った顔が笑顔に見えるだとかそういう定説はあ ろうとも、少なくとも今この瞬間に、紛れもないホンマもんの笑顔を浮かべられる、いらん度胸なども持ち合わせていない。








  黙り込んだと 悟飯が再び時を取り戻したのは、数分後に帰ってきたチチの金切り声のおかげだった。



 
  ・・・勿論、光速で逃げたのだけれど。








 「まあホラ、座りなよ、そんな落ち込んでないで」
 「だって・・・帰ったら凄い怒られちゃいます・・・」

  鬱蒼とした森の中、「座れる場所」を求めた二人が腰を落ち着けたのは局地的森林伐採の被害にあったらしい大量の切り株が散乱する奥地だった。誰がこんな持 ち運びに困る位置の木を伐るのか。やあ、今日はそんな細やかな疑問など欠片も浮かびはしないようないい天気だ!

 「(怒るのは仕方なかろうが)そんなんピッコロさんに押し付けちゃえばいいよ。このナメクジがやりましたとかぶっちゃけて」
 「ナメ・・・ッ!?あ、や、駄目ですよ、そんな鬼みたいなコト!」
 「・・・ナチュラルにそんな考えが浮かぶ私は鬼みたいですか?」

  もともとに 対する態度が八つ当たりだという自覚はあったのだろう。悟飯の怒りは随分鎮火した様で、もうすっかり見た目、いつもの慎 ましやかな雰囲気に 戻っている。取り敢えず良い事だ。他でもない、誰よりもに とって。
 他の奴のことなんか知るか。

 「んで、何であんなんなってたのさ?」
  脳内で乙女の直感という名の警告ブザーが鳴らないことをしっかと確認してから、意識してこれ以上はないくらいに柔らかく問いかけた。・・・先程の経過を考 えると、今が大人しいからと言って油断してはいけないような気がするので。

  人畜無害のセーフティバーであった彼への認識は、今や残り剣数一本の黒髭危機一髪───否、焼却炉の中のダイナマイト・・・も、ヌルい。・・・差動装置が 挙動不審な核爆弾とでも言おうか。詰まるところ、A級犯罪者以上の要注意人物、である。

  彼はチラリとこっちを見て、しかしばつが悪そうに視線を逸らす。そんなに自分に対して言い難い事実でもあるのか。そう、例えばに 対して底知れぬ不快を 感じていただとか・・・にしては普段の態度はかなり「懐いている」感じだった筈。

 「あの触覚生えた雌雄同体、約束すっぽかしただけなんでしょ?したら超化するような問題でもないと思うんだけど」
  「・・・さ ん、何かピッコロさんに怨みでもあるんですか・・・ナメクジとか触覚生えた雌雄同体だとか」
 「ものごっついあるよ。レポートにしたらB4用紙100枚あっても書ききれないくらい。んで、何?」
 「はあ・・・」

  多少口元を引き攣らせつつも、一度大きく深呼吸をして悟飯は真っ直ぐにを 見据えた。黒々とした綺麗な目は、どうやら正直に語ることを決めたようであ る。
 何故だか小さくゴメンナサイ、と呟いて。
  「嫉妬してたんです、さ んに」

  ・・・衝撃の事実(笑劇とも言えようか)の暴露はここから始まった。







 「・・・・・・・・・・・・・・・なんで」

  「最近ピッコロさんてば昔より断然かまってくれなくなって、新技も教えてくれないし、修行の時間はやたら減るし、修行してても話すことはさ んのこと ばっかりで!」
  「・・・新技はネタが尽きたとかそういうオチで、修行の時間が減ったのは・・・まあ私のせいか。話題が私になんのはアレだ、新種のサルが珍しいみたいな感 じで、その上私の気ってちょっと他と質が違う(らしい)から学者的好奇心をモリモリ刺激して、そんで、あー・・・一過性だよ、一時的」

 「昔は抱きついたって全然平気で、怒ったりしなかったのに!」
 「知らんがな。(こいつそんなことしてたのか)君、おっきくなったから恥ずかしいんだよ・・・つうか重いんだよきっと」
  「でもこの間さ んが抱きついたときには怒ってませんでしたよね」
  「ああ、怒りの観点はそっちか。・・・あれさあ、諸事情によりめっちゃシカトこかれたモンだから、何が何でも反応引き出してやろうと思ってヤケッパチ に・・・無駄だったけど」

 「気功弾放たれたりしないでしょう?」
 「近頃攻撃ランクが妙に上がって、魔貫光殺砲で襲撃されるようになったなあ・・・」
 「・・・・・・因みにその前は?」
 「普通に、殴りかかってきてた時期もあったような」
 「・・・・・・・・その間は」
 「・・・・空からビュンビュン光線が降り注いでたのは覚えてる」

 「・・・・・・・・・・・・」
 「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」






 ゆったりと。
 過去に浸って、遠きを思う。
 その行為の虚しさに涙するのは間違っていない筈だ。膝の上で握った両の手に爪が食い込んでいるのように見えるのは思うに幻覚で、ギリリと奥歯を噛み締め る 行為はきっと気のせいだろう。
 木漏れ日が目に痛い。ザワザワと揺れる木の葉の音が、まるで自分に同情しているような、有り得ない自虐を考えそうになって項垂れた。



 「・・・・・・・・・・・・・・大変なんですね、意外と」
 「おかしいな・・・・・・目からやたらとショッパイものが溢れてくるよ・・・・・・」

 殺伐とした森の中、自分の命の保障が成されたその瞬間。 ひどく嬉しい筈のその瞬間に、目から流れた滂沱の水分を不思議と嬉し涙とは思えない自分がそこにいた。



 
 悟飯ちゃんメインに。和解編?
 たとえ本編でも さ んの扱いはこんな感じです自分の名前に変換して下さってる方ごめんなさい
 修行シーンが書きたいよう

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