dizzy番外編
仲良き事は美しき事かな?







 人生って物悲しい。







B悲喜交々







 「・・・という訳で、勘違いな嫉妬というオチがついたのでした」
  非常に迷惑だという意思も隠すことなく丸出しに、は パタリと厚さ7センチはある本を閉じた。まるで理不尽な物語を悲しむように重く溜息を吐く。
 黄色い本の背表紙には、でかでかと「タウ○ページ」と印刷が。
 「・・・何だ、その本は」
 「演出」
 
 場所は戻って近日使い始めた修行場である、人っ子一人見当たらない荒れた岩場。
 小一時間たって未だ崖に埋まっていた師匠を掘り出して、漸く茶番が終幕に向かおうとしていた。・・・ちなみに埋まっていたのはダメージが大きすぎたせい で ある。いかに悟飯の底力が恐ろしいかが垣間見えた現象だった。

  岩場に座り込むは 本格的に疲れていた。それこそ心身共に。態々ばか重いタ○ンページを見知らぬ他人様の家から勝手に持ち出したのも、心の 疲れを自己 回 復しようという健気な行動故だ。
 ・・・早く自分のペースに戻りたい。
 今の自分にはもしかしたら死相とか出ているんではないだろうか。

 「大体、嫉妬とは何のことだ?」
  本気でわからないらしく、散々ナメクジだなんだと呼ばれたピッコロは首を傾げる。そりゃあ、勘違いも甚だしいのだから、わかるまいよ。世捨て人特有の遠 い 目では 呟いた。

  悟飯が申し訳なさそうに眉を下げ、うな垂れる。
  「僕、ピッコロさんがさんには優しいんだと思って・・・ごめんなさい・・・」
 「・・・俺はお前に優しくした覚えはないが」
 「された覚えはないですし。犬猫みたく扱われたことはありますけどねェ」

 黒目スペースの極端に少ない師の目を向けられて真顔で吐き捨てると、その視線が僅かに臆す。悪いとは思っていないだろう。否、いっそ清々しく、自分が悪 い 対応をしているとは思っていないに違いない。絶対。
 ついでのように拳大の石コロを投げつける。アッサリと「目からビーム」(技名)で砕かれた。当たるわけがないとわかっていたので悔しくはないが、何だか 微 妙に歯痒い気分だ。

  「あの・・・僕が言うのもアレですけど・・・ピッコロさん、何て云うかもう少しさ んの・・・良い扱い方見つけたほうが・・・」
 「・・・悟飯くん、自分が慇懃無礼なセリフ吐いてんのわかってる?」
 そっと吐く、本日何度目になるかわからない溜息は、きっと彼に届かない。極端に耳がいいピッコロも、きょとんと───止めろ宇宙人───悪い目付きを和 ら げていて、聞いていなさそうだ。
 まあ、セリフの使い方云々は置いといて。

 「せめて、防御の練習とか言って人間には回避不可能な技で狙撃すんの止めて下さい」
 切実な思いでタウン○―ジをバフンと置くと、しかし、という何とも歯切れの悪い返事。わかっている。実は最近狙撃が趣味と化し始めてることは。
 だからこそ、止めて下さい。

 「せめて頭サイズの岩石投げつけるくらいに」
 「・・・や、それも遠慮したいなあ・・・。普通に死ねる修行とか、人生痛いなあって思うよね」
  「頑張って下さい、さ ん」
 「(こいつ、私のこと嫌いか・・・?)」
 ニッコリと笑う悟飯に寒気を感じて身を震わせる。暑いはずの陽気が、身に覚えのある寒気に変化していくような気がした。

 ・・・もしかして、まだなんか誤解してんのかな・・・。








  げっそりするまで満面の黒き笑みを見せ付けられて、は 眉間を強く押さえる。頭痛癖は持っていなかった筈だが・・・。首を揉んで顔を上げた。
 「じゃあ、ピッコロさん、行きましょう」
 素晴らしく上機嫌に天然ぶっちょう面の宇宙人と腕を組む、天使らしき生物の皮をどこかから剥ぎ取ってきて被っている悪魔。一見微笑ましいその光景に、何 故 自分はここに存在してしまっているのか一度真剣に考え直さないといけないとぼんやり思う。

 つうか悟飯と自分なんて3つかなんかしか変わんねえだろ、いい年こいた男が二人で腕組んでんじゃねェよ!

 「ああ」
 別段いやでもなさそうに頷く地球産ナメック人を嘆く気も起きない。
 心の中は投げやりな気持ちでばっつり占められていた。

 「行けよ、行ってらっさい。もう会わなくても嬉しいだけで困らないけど、またいつか運命の悪戯で遭遇する機会があったら会いましょう」
 ばいばい、とぶんぶか手を振って、さっさと行けと促す。

 「?どうせ明日を会うだろう、何を言っている」
 「悟飯くんの約束ポカしたんだから、明日も付き合ってあげて下さい」
 これ以上怨まれるのは勘弁だし。
 唇を尖らせて言えば、彼は納得したようだった。大きく首を振って肯定する───その脇で、したりと微笑む悟飯が恐ろしい。なまじ顔が適度にいいだけに、 直 に何か脅されている感が耐えなかった。
 ・・・今回の一件で、随分と印象がEvil属性に寄ったものだ。

 「つうワケで、悟飯くん、ばいばい」
 これが最後。
 余力を振り絞って爽やかに笑む自分は、此度のノーベル平和賞を受賞して然るべき存在であったと思った。世界平和に貢献した。この場に大統領がいたのな ら、 何年度かの流行語大賞、「感動した!」の一声と共に金色の額が授与されたことだろう。

 ───違う世界の出来事だった気もするが。








  去って行く二つの姿を視界に入れつつ、は 大の字に寝転がる。
 目を閉じて、浅い呼吸を繰り返し。
 ぽつりと風に溶け消えるような声音で呟いた。



 仲良きことも・・・考えものだよな、と。



 疲れ果てた先の闇編。お疲れでした
 おかしいなあ・・・悟飯くん、初めは自覚のない迷惑千万天然黒人間だったはずなのに・・・悪魔に・・・

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