初めにお読み下さい
(↑タイトル)




 神楽は基本的に、ナチュラルではない甘えっ子だ。
 無意識に甘えることはまずない。ないが、その逆意識的に───打算的に甘えを発揮する場合は多い。
 初めて神楽がパソコンゲームを買った本日も例外ではなく。

 「ハルさ〜ん、これ、押していいの〜?」
 「そうだと言ってるでしょう、さっさとしなさい」
 「はぁい」
 可愛らしく返事をしてマウスを操る神楽を見つつ、御門は小さく溜息をついた。朝早くに呼び出され、何事かと思えば昨日買ったソフトのダウンロードに付き 合えと言われた。過去を思い返し、何故そんな横暴に馬鹿正直にも付き合っているのかと思考しても、実は自分は面倒見がよかったのかなどというやけくそな答 えしか選出はされない。
 しかも、付き合えと言われ実際付き合ってみれば・・・。
 「・・・あれ、エラーだおかしいな?」
 「ちゃんと設定を入力していないからです。ほらそこは・・・」
 初めてだとかそういった問題ではないこの間違いの多さ。静電気でデータがクラッシュしただのフロッピーが出てこないだのといったヘルプは何度も寄越され た過去があるが、もしかしたらただ単に機械類と相性が悪いだけなのではないだろうか。
 (・・・というか根本的に・・・)
 視線を移す。機械の横にでんと置かれたゲームのケース。中にチラリと見えた取扱い説明書は・・・厳重にビニールに包まれている。
 読んでいないのだこの女は。
 「あ、ダウンロードはいった」
 「取説を読んでいれば私を呼ばなくてもよかったでしょうに・・・」
 「だって面倒だったし。紙切れなんかよりハルさんに教えてもらった方がわかりやすいに決まってるし。ありがとうね〜」
 御門の嫌味など感じず振り返ってニッコリと笑う。それはきっと心から説明を読むのが面倒だったという証だろう。笑顔を向けられて悪い気はしないが・・・ 憤りやら物悲しさやらのほうが先に立つのは、当然というものだろう。
 「今度は自分でやって下さいよ」
 「頑張りま〜す・・・と、あ」
 パソコンに向き直った神楽の声は、拍子の抜けたものだった。僅かにそっぽを向いていた御門はその声でディスプレイを覗き込む。
 ピシリ、と。
 ・・・空間が凍ったのだと後に神楽は語る。

 「き、機種が対応してなかったみたい☆えへ」
 「初めに調べておきなさいッ!!」

 この後一週間、一言も話そうとしない御門に謝り倒す神楽の姿が見られたとか。



 携帯電話買った父上見てて思いついたネタ
 機種対応してないパソゲって、きっと初めから作動しないんじゃないかなんて考えつつ
 父上へ
 母上が携帯電話の説明、折角してくれてるんだから聞きましょうぜ
 (日記より)



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