東京魔人学園外法帖
 江戸時代な彼等



 「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
  の 右手に握られた"えんぴつ(支奴に貰った)"の先端がフルフルと震えていた。
  手元の一枚の紙に書き綴られた事柄は、を 呆然とさせるのに十分な物だった様だ。
そ んなに 近づく風祭。
 「あ、 オイ。 御屋形様がお前の事探してた─────」
 「カザ、お前幾つだ」
 「は?」
 カタンと鉛筆を机に置く。
 その肩は今だ震えたまま。
 「・・・・・・って、何がだよ」
 「わかれ馬鹿犬。年だよ、幾つだ」
 「馬鹿い・・・・・・・・・!?」
 パァンッ!
 騒ぐ風祭に煩い、と足払いをかける黄龍の器・妹。
 明らかに『黙ってさっさと答えろ』的なオーラを発しまくっている。
 犬、屈伏。
 「・・・・・・15だよッ。だから如何した!」
 「・・・・・・・・・・・・・」
 二 人は一つ違いでは 16歳の中盤に差し掛かった辺り。
 なのにこの立場の違いは・・・・・・。
  「オイッ!」
 キャンキャンと吠える負け犬に、ズイッと差し出されたのは先程 が 凝視していた紙。
 訝しげに風祭はそれを受け取り─────。



 ・・・・・・ぱさ。



 「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・冗談だろ・・・・・?」
 「何回も確認したさ・・・・・」
 今度は風祭が愕然とする。
 まさかまさかの大事実を知ってしまったのだ。当然の反応と言えよう。
 むしろ取り乱さないだけ頑張った。
 「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・行ってくる」
 「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・おう」
 は ゆっくり立ち上がり。
 走り出した。
 そう─────彼らの元へ。




 ドダダダダダダダダダダダダダダダッ。
 ッバ──────────ン!
 「天ちゃ───────────────んっ!!」
 鬼道衆・下忍も吃驚な足音を立てて広間に滑り込んだのは、当然ながらかろうじて元気と言えなくもない状態の
 驚くのは集まっていた面々である。
  「・・・如何した、
 息 を整えるに 近寄ったチャレンジャーは、面彫り職人、弥勒さんだった。
 ポンポンと軽く背を叩いてやる優しい彼が好きさ。
 「・・・っ・・・み、弥勒・・・お前さ・・・・・・」
 「ん?」
  悲しげな顔では 弥勒を見上げた。
 わしっと肩を掴んで。
 「年、幾つっ?」
 質問再び。
  兎に角必死なに 気圧されたその他大勢は、口を挟む事をとことん躊躇う。
 それが普通の反応です。
 「・・・?23だが」
 眉を顰めつつもちゃんと答える律儀な弥勒。
 その言葉にの 顔は、うって変わって眩しく輝いた。
 「やっぱそん位だよなそうそうそうだよなッ!お前ら大体20代だよなッ!!」
 因みにメンバーは、弥勒を筆頭に京梧、奈涸、壬生、御神槌。
 そして─────。
 「おい、一体どう─────」
 「うっさい老けヅラッ!」
 「老け・・・・・・っ」
 容赦なく切り捨てられた御屋形様と。
  「な、! いくらなんでもそれは─────」
 「お前もじゃハゲェェェェェェェェェェェッ!!」
 更に核心を突かれて思わず立ち上がる若大好きっ子。
 「は、ハゲじゃない、これは剃髪といってだなぁ・・・ッ!」
 「同じだッ!」
  大体なぁ。ビシリと九桐を力強く指差す
 勢いに任せて常日頃の鬱憤をぶちまける。
 「お前戦闘中にやたらと眩しいんだよ!技発動する度にキラキラキラキラと、少女漫画かっつーのッ!腐れ坊主が生意気にも後光背負って街中ねり歩きやがっ て、町民もそりゃ、拝みたくなるっちゅーねんいい加減ッ!!」
 仮にも仲間の一人に向かって、なんと言う言い草か。
 あんた鬼や・・・まさしく鬼道衆や!
 反論するHP・・・・・・いやいや。気力もなくなる程の大技を受けて、畳に沈む生臭坊主。
 影まで薄くなっていて痛々しい。
 「何があった?」
 いっそ清々しく撃沈した九桐をスッパリと無視して、壬生が無愛想に口を開いた。
 漸 くが 指を下ろす。
 「・・・・・・これをご覧下さい」
 差し出したのは一枚の紙切れ。
 勿論さっきの紙だ。
 その場の全員(九桐除く)がそれを一様に覗き込む。


    九角父:1853年に徳川の手にかかり死亡
         天戒と嵐王は当時2歳を迎えたばかりの子供だったという
         
         現在1866年
         1866−1853=13
         13+2=15
                             ・・・天戒15歳?

 『・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・』
 空気が張り裂けんばかりの重い沈黙が流れる。
 あの図体で15歳。
 風祭なんかと同い年。
 しかもこれを鵜呑みにするならば嵐王、兼支奴も、同年代の九桐も15歳。
  ならばの あの仕打ちも頷けるというものだ。
 皆が皆、ゆっくりと九角天戒を振り返った。
 「・・・御屋形様?」
 御神槌が言う。
 何かの間違いですよね、と。
 「・・・・・・い、いや、多分、父の、言い間違い、だろうッ」
 「どもるな赤毛」
 あからさまに視線を明後日の方向に、オロオロソワソワと挙動不審な九角。
 動転のあまり、九桐の頭を擦り続けたりなんかして。
 「光るぞ、それ以上に」
 「・・・・・・む、それは困るな」
 京梧の指摘に手を離す。
 「なかなか手付きがいいな。今度うちの壺を磨きにこないか?」
 「おい亀。ヤメロ亀。こら、ミュータントタートル」
 そっ、と九角の肩に手を置いて勧誘する忍者の袖を引っ張って、現状を思い出させる。
 渋々奈涸は手を離し─────九角の眼光が鋭く空を裂いた。
 「あ、豚骨ラーメンッ!!」
 『何イィィィィィィィィィィィィっ!?』
 大きなリアクションで外を指差した九角のあまりの意外な内容物に、ついついつられて外を向く無様な六人。
 いるわけなかろうに。
 当然その隙に御屋形様はトンズラぶっこいて。
 六人は怒るより先に、その忍者も吃驚の素早さに感心した。
 何気に九桐を見捨てた切捨てのよさにも。




 「何処だ───ッ!柳生2号赤毛─────ッ!!」
 「さっさと起きろ、このハゲッ!!」



 彼らはその後、日頃の途轍もない連係の悪さなど微塵も感じさせないような見事な、素晴らしいチームワークを発揮して。
 ・・・それでも捕まらなかった九角は、何だかんだ言って結構凄い人物なんだなと感心されたりしていたらしい。



 今日も彼らは平和である。




 嫌ー、恥かしいッ!
 もうノーコメントな方向で!


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