東京魔人学園外法帖
入っ てラーメン堂ッ!
やっぱり昼中───それも春の晴天日の陽気といったら堪らなく良いものだ。
小鳥のさえずり、山から聞こえる狐の声に聞き入って。
ついでに屋敷内から聞こえてくる風祭の断末魔をじっくりと堪能して。
縁側に座布団でも敷いて、ゆっくりと昼寝にでも勤しもうか。
「─────そんな訳でさっさと去れ」
「接客用の笑顔で何てキッパリと」
招かれざる客が、ほんの少しだけ眉を寄せた。
今日はあの凄まじいオーラを発する剣は持っていない。
「帰れって」
「何故だ?」
今 この場での縁側主、は、 不満そうな顔で此方を見る男に向かいブンブンと手を振って言い放つ。
「邪魔」
まるで通りすがりのナンパを切り捨てるかのような口調である。
あろう事か仲間である壬生霜葉に向かって。
「どうせ暇だろう。仕事の無い時には、ゴロゴロしているか風祭をど突きまわしているかのどちらかしか無いお前だ」
「・・・・・・むぅ」
ああ暇さ。
暇だからこそ私は寝たいのさ。
「だからって何で態々血に塗れに鬼岩窟行かにゃならんのさ」
しかもお前、村正は如何した?
「置いてきた。ついでに言えば行くのは鬼岩窟ではなくてラーメン堂だ」
置いてきていい代物ではなかろうに。
飄々と言ってのける壬生に、数秒沈黙する 。
「間抜けだぞ、その顔は」
「うっさい!いや、つーか二人だけで行くのか!?ラーメンぶちまけにッ!」
「そうだが?」
更に沈黙。
無謀だ、無謀過ぎる。あんなトコに二人で入って、無事に日の目を見られる筈がない。
それを踏まえて言っているのだろうか、この仏頂面は。
「勿論だ。大体、死ぬ気でかかれば馬鹿でかい豚骨も一撃だろう。俺も、お前も」
「死んで堪るか!ラーメン制覇なんぞでッ!!」
思わずその場で真空裏手ツッコミ。
何気に壬生の胸に(真空波が)ヒットしていたりしたのだが構う必要性はない。
「じゃあ、死なないように頑張れ」
胸の辺りを押さえつつ(効いたのか?真空波)あっさりと言う壬生。
「人数を増やそうとかいう考えは無いのか?」
「無いな」
何故?
何が目的で少人数過ぎる少人数で中国麺を引き千切り、あまつさえ中国柄の丼を破壊しに行くなどという暴挙に走ったりするのか。
答えろ、速やかに───いや、答えられるな、断りやすいから。
「腹が減っているからだ」
「食うのか!?」
「冗談だ」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。
殺すぞ・・・・・・・・このハゲ・・・・・・・・・。
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・何か言ったか?」
「あいだだだだだだだだだッ!?」
静かに怒りを漲らせ、の 頬をビロ〜ンと伸ばす。
如何やらよほどの禁止領域に踏み込んでしまったらしい。
「・・・・・・お前、自分のレベルを知っているか」
手を離し、ゲームキャラとしての禁句をサラリと口にする元・新撰組。
─────でも壬生くんの羽織、新撰組のヤツじゃないよね。
「ば、馬鹿、しーッ!」
「?何がだ」
「いや何でもないデース!」
おっとこれは失礼。つい言ってはならぬ事を。
ともあれは 不審そうな壬生を何とか誤魔化し赤くなった頬に手をあてた。
「私は99ですよ」
「俺もそうだな」
仲 間内で今の所99なのは、龍斗と劉と御神槌と藍+壬生、の 六人。
うちの腹黒五人衆は見事に達成している。
「・・・・・・で?」
だから如何した、と聞き返す。
「レベル99の人間がアレを倒すと、膨大な経験値の代わりに何かレアな品が手に入るという情報を得たので、試しに行ってみようかと思ったんだ」
嘘です。
大嘘もいい所。そんな事が本当にあるなら、とっくにどっかの亀が潜りまくってます。
───が、如何やら今度はこの声が聞こえない様子。
「ホントか!?・・・・・・あ、でもそれなら龍斗とか誘って・・・・・・」
「後の四人は鬼岩窟の985階から降りだして100階は潜ってくると言っていた」
これは本当の話で、確かに四人+αは来る敵来る敵、薙ぎ倒している真っ最中だ。
迷うに 駄目押しとばかり、ふと笑ってみせる策略魔。
「一人では無理だと思う・・・・・・・・・・・・ 来て、くれないか?」
は 人の哀願に弱い。
そのが 悲しげな顔での願いを断れるはずもなく───渋々ながらも首を縦に振る。
そして向かうはラーメン堂。
ていうか、後日にしろよ、壬生くん。
「おーい天戒、知 らねェか?」
「いや知らんが」
「そうか。・・・・・・壬生もいねェし・・・・・・何処行ったんだ、あいつら」
そんな龍斗の捜索は何時しか村全体を巻き込んだものへと発展し─────。
最終的にボロボロの彼らが見付かったのは、一日後の洞窟前であったとか。
私、壬生くんよか劉くんのが好きな筈なんだけど・・・
いや、書きやすいし出張るし動くし、壬生くんは良く出現すんなぁ。劉くんが一番で、次点って所デスか
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