何時もの様にルーズリーフにペンを走らせて、背後へこっそり回す。
右上がりの筆跡に彼が目を通した瞬間

教室に笑い声が轟いた。



東京魔人学園剣風帖
我等が青春謳歌



「おい、蓬莱寺!何を笑ってるッ!」
教壇に立つ西岡ティーチャーが唾を飛ばして前列生徒にふり掛けながら怒鳴る。
スイマセン、という京一の謝罪(気持ちこもってない)に
一応怒りを収める態度は、大人だ。
つーか老人だ。収めないと血管切れる。
シシッと笑う
憮然とするでもなく、笑いをたっぷり含ませて京一はすぐにその紙を返した。
の 比較的綺麗な癖字で概要が簡潔に一文
勿体無い程でっかく縦に書かれている。
隣の席の小蒔がソレを見て、慌てて口を押さえた。
勿論、笑いの衝動をやり過ごすため。
・・・ 最高・・・ッ)
(てか、後にしろよ後に)
(だって気ィ付いちゃったんだもん。やっぱこれは今知らせないとさあ)
極小の声音でダベり出す三人。注意力散漫な教師は気付かない。
そんな不謹慎な の 肩を
トントン
と控えめに叩くのは、前の席のムキムキ巨体。
つまり醍醐。
(如何した?)
(あ、醍醐、コレ見てミソ)
いいよなこういう時この席。思いつつピラリと紙を差し出す。
不思議そうに小首を傾げ(微妙に可愛いのが嫌だ)瞬きをして。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。




「・・・・・・ブハッ!」
噴出した。




「醍醐、お前まで何しとる!」
「す、スイマセンッ!」
彼は真面目だ良い生徒だ。ちゃんと誠意がこもってる。
あれが普通だけどな。
怒鳴られてきちんと姿勢を正す生徒は新鮮だ。
しかし好奇心には勝てないのか、黒板に追加された文をノートに素早く書き写し、醍醐は再びそっと後ろに向き直る。
・・・因みに と 京一はノート何て作ってすらいない。
(お、お前何処見てるんだ)
(先生。いや、何人かは気付いてるって、ホラ)
指差す方には龍麻と葵。
彼らはうっすらと口元を綻ばせていて、その様子は無駄に微笑ましげだ。
視線は黒板の真ん中位の高さで固定されている。
不意に振り向いた龍麻と目が合った。
(気付いたか?)
(モチ)
兄妹微妙な愛コンタクト。
龍麻に倣い振り向いた葵がそっと髪を撫で付けるのに
ついに小蒔は笑いをぶちまけた。






「───は〜笑った〜」
「笑い過ぎだろ小蒔。血管切れそうだったぜ西やん」
「人の事は言えんだろう京一」
「言えねェなぁ言えねェよ。煩くて犬神ちゃんに殴られてたしな〜」
授業後。
笑いの中心人物の 含 む四人は
西岡こと西やんによって指導室に呼び出された。
説教を聴いている間も笑い続けていた為呆れられて早く終わったが
その分成績は下がったかも知れない。
それでも彼等の顔に悔いはない。
満足しきった顔で煌々と輝いている。

「あ、コレどうしよ」
の 手には握り潰された先程の紙。
真剣にう〜ん、と暫し悩み・・・
うん、と顔を上げた。
「忠告してくる」
「・・・マジ?」
「マジさ。応援よろしく」
ビッと親指を立てて駆けて行く
遠くで勢い良く職員室を開け消えていく背。
「グッジョブッ!」
「おうよ〜」
遅ればせに職員室内で叫んだ の 運命は知らないが。
途中に放置された紙クズの運命は目の前で進行した。
「あ」
京一達の前で何だコレと拾い上げられる、紙。
あっさり開かれたソレを見た数人の生徒の笑い声は、高らかに校舎を満たして。

・・・お笑いチェーンメールとなって他校へ広がったとか。



西










  い



 
 80%実話。教室の端から端まで紙まわしたのは、何を隠そう私です
 友人が醍醐気に入ってたなァ



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