史上最強に珍しく(脅迫されて無理矢理に)スカートを穿かされた神楽と町に出かけて。
「なあ、あの子、結構良くねえ?」
「不機嫌な感じだけどそこがまた!こっち向かねっかなあ」
ジュースを買って戻った場所でそんな会話が成されていて、悟飯は思わず苦笑した。視線の先には確かに連れの少女の立ち姿。腕を組んでむっつりと顔を顰め
た様子の何処が良いのかははっきり言ってわからない。
ていうか。
(馬鹿だなあ。手に負えるワケないのに)
サイヤ人でも手を焼く存在を彼女にしてやっていけるものか。こちらの世界に来る前は与り知らぬこととして、今は一般人が敵う由もないのだ。
憮然と立ち尽くす神楽に駆け寄る背中に、羨ましげな男の視線を感じた。
「アンケートにご協力下さい」
華やかに告げられた言葉に反射的に頷いて、差し出された紙に固まる。覗き込んだ少女が噴出すのにどうしよう、と呟いた。
(うわ、カップルに見えるんだ・・・)
カップルへの質問項目がずらりと連なった、悪魔の連判状より恐ろしく思えるそれ。面白そうに見る神楽に思わず押し付けると一瞬顔を顰めて、だが珍しく素
直に受け取った。珍プレイって続くものか。
「適当書いときゃいいんだよ」
アンケート回収の人間が見ていないのを良いことに、つらつらとペンは紙を這う。書き込まれた回答に、悟飯は口を押さえて笑いを堪えた。
「付き合う決め手が『出会い頭のアックスボンバー(プロレス技)』って、どんなんですか!」
「馬鹿、しー!」
張り上げた声を前半で押さえ込まれる。素早い。これを修行に生かせという師匠の気持ちはなんとなくわかった。
「こんな珍回答求められてないでしょうに・・・ああまた、一番の思い出が『最近隣に越してきた宇宙人にゴミの収集日を教えてあげました』とか書
く・・・」
「うっさいなあ。貰いたいプレゼントは・・・『彼氏が地上から消えてなくなること』」
「ほほほ本気ですか!?」
「いつから君が私の彼氏になったってんだ。嘘だよ。今後一緒にしたいこと・・・」
「リンボーダンスとか」
「ああ、じゃあそうしようか。彼氏の欄ね『腰が痛くなるような激しい リンボーダンス(超小文字)』、と」
「ええええええッ。神楽さんの方に書いて下さいよ」
そんなこんなで出来たアンケートを係りの人に渡して、すぐさま亜光速で立ち去ったのは悟飯の提案である。
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